― 僕も地獄を見た。「ナンピン=助かる」は幻想だった ―
スイングトレードを続けていると、
必ず一度は “ナンピン” に誘惑される瞬間がある。
少し下がっただけだから買い増せば平均買値が下がる
反発しそうに見える
一度落ちてきただけでトレンドはまだ上のはず
ここで買い増しすれば利益が倍になるかもしれない
いま損切りしたくないから「時間を買う」ナンピン
僕も過去に何度もこの誘惑に負けた。
そして毎回後悔した。
結論から言う。
スイングトレードにおけるナンピンは絶対にやってはいけない。
その理由は、勝てないからではなく、負け方が致命的になるから。
この記事では、
僕が実際にナンピンして失敗したパターンと、
スイングという手法とナンピンが“構造的に噛み合わない理由”を、
あなたの現在の手法に合わせて深く解説する。
ナンピンとは「悪い位置を“誤魔化す”ための買い増し」
ナンピンとは、
含み損の状態で追加で買い、平均買値を下げる行為。
個人投資家がやりがちなナンピンはほぼこのタイプ。
しかし冷静に考えてほしい。
平均買値を下げたところで
相場の方向が上にならない限り
助かることはない
つまりナンピンは、
“負けているポジションを、無理矢理救おうとする行為”。
これはスイングの本質と真逆だ。
ナンピンが危険すぎる理由① 「既に“間違った場所”で入っているから」
スイングの基本は、
- MA整列
- 10時以降の静かな上昇
- 前日終値+数ティックで抜けた場所
- 出来高が微増
- 地合い良好
こうした “整った相場” に乗ることだ。
しかしナンピンは必ず
- MAが崩れ始めている
- 静けさが終わった
- 出来高が不安定
- 上ヒゲが増えている
- トレンドが鈍い
- 地合いが弱い
こういう“悪い場所”で発生する。
つまりナンピンとは、
「すでに間違った場所で入っている」という事実を、
無理に修正しようとする行為。
間違いの上に間違いを積み重ねれば、
破滅に向かうのは当然だ。
ナンピンが危険すぎる理由② 「損切りラインが“壊れる”」
例えば、僕のスタイルは、
「−5ティック前後の損切り」がルール。
これはとても良い。
小さく負けることで勝率を保ち、
大きく伸びる日だけ取る。
しかしナンピンをするとどうなるか?
- 1回目の逆指値:−5ティック
- 2回目の逆指値:さらに深く
- 3回目:損切り額が倍に膨れる
さらに悪いことに、
ナンピンした瞬間に“損切りが怖くなる”。
結果として——
- 損切りを引き伸ばす
- 固定ルールが崩れる
- 逆指値を外す
- 「戻るはず」と願望に頼る
という間違いをおかし、そのまま大陰線で処刑される
ナンピンとは、
“損切りシステムを破壊する最悪の行動” なのだ。
ナンピンが危険すぎる理由③ 「“反発予想”という最も負ける思考に陥る」
ナンピンが成立するには、
「ここから反発するはずだ」という予想が必要。
しかしスイングで最も負けやすいのが
まさにこの“反発予想”。
賢明なる読者なら すでに反発狙いの危険性を理解していると思うが、
ナンピンは 反発狙いを超えて“反発に自分を縛り付ける行為” になる。
つまり、
落ちるナイフを掴んだ状態でさらに刃を握りしめにいく
という最悪の状況を自分で作ってしまう。
ナンピンが危険すぎる理由④ 「地合い悪化と重なると“即死”」
ナンピンは、
単体でも十分危険だが、
地合いが悪化した時にやると 致命傷 になる。
多くの人が経験したことがあると思う。
いい銘柄なのに下げる
地合いが悪いときは一気に落ちる
トレンドが崩壊すると“反発が来ない”
地合いが悪い日のナンピンは、
「加速した下落の中に自分を押し込む行動」
に近い。
スイングは地合いを避けることで勝率が上がる。
ナンピンはその“避けるべき場所”に突っ込む。
僕がナンピンで実際に大敗したパターン
●① 1回目:−5ティック
→ 「まだ押し目。買い増すか」
●② 2回目:さらに−5ティック
→ 「平均買値が下がったしまだ耐えられる」
●③ 3回目:地合い悪化、急落
→ 見たことのない大陰線
→ 含み損が一気に膨らむ
といった負けパターンが多かった
そして結末は—
逆指値を外してしまい、
損切りできなくなった。
ナンピンの何が怖いって、
自分のルールが壊れること。
負けトレードの金額ではなく、
メンタルシステムが破壊されることが一番恐ろしい。
ナンピンが「たまに成功する」のが最悪の罠
ナンピンが本当に危険なのは、
たまに助かることがあるという点だ。
- 地合いが偶然良くなる
- 一時的に反発する
- 出来高が入る
- トレンドが戻る
こうした“まぐれで助かる経験”が起こると、
脳が学習してしまう。
「ナンピンは助かる」と。
しかしこれは大間違い。
ナンピンは 成功しても次回以降を考えると期待値が低く、
失敗すると資金が吹き飛ぶ。
期待値が常にマイナスなのだ。
手法では、ナンピンは100%不要
僕の現在のスイング手法は、
- MA整列
- 10時以降の静かな上昇
- 前日終値+数ティックの逆指値買い
- ヒゲ回避
- 損切り5ティック
- 決算前回避
- 地合いフィルタ
- 持ち越し禁止
これは“静けさで勝つ手法”。
静けさで勝つスイングは、
荒れた場所(=ナンピンの発生地点)には近づいてはいけない。
ナンピンはあなたのスタイルにとって、
最悪の敵だ。
ナンピンを絶対にしないための行動ルール
これを守ればもうナンピンでのミスは生まれない。
① 損切り5ティックは“絶対固定”
広げればナンピンが生まれる。
② 損切り後はその銘柄を“その日は触らない”
ナンピンの誘惑の半分はこれで消える。
③ 反発に見えても絶対に拾わない
“押し目と逆張りは全く別物”。
④ MA整列が崩れたら即撤退
崩れた場所はすべてナンピンポイントになる。
✔⑤ 下落中の銘柄に“興味を持たない”
スイングの利益は上昇の中盤にしかない。
✔⑥ 地合いが悪い日は“その日は無操作”
ナンピンが発生するの日は、たいてい地合いが悪い日。
✔⑦ ナンピンして助かった経験を“成功体験”と認識しない
これは最悪の手法になる。
最後に:ナンピンは「負けを濁す行為」。 スイングは「負けを潔く受け入れる人が勝つゲーム」。
ナンピンをしたくなる気持ちは分かる。
でもスイングで勝つ人たちは、
全員がこう言う。
「ナンピンしない勇気こそ、
最も価値のある資産だ。」
スイングは“静けさ”で勝つ。
ナンピンは“荒れた場所”に突っ込む。
その瞬間、スイングの美しさが壊れる。
あなたはすでに
“静けさのスイング”という勝ち道にいる。
ナンピンを完全に捨てた瞬間、
あなたの成績はさらに安定するだろう。

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